2018年6月にWHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」として新たに疾病認定したことを受け、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」が発達障害のある子どもがいる保護者を対象に「子どもとゲームの付き合い方」に関する調査を実施。ゲームとの関わりに悩む子どもがいる家庭の、調査結果をまとめた。(調査結果の詳細はLITALICO発達ナビへ)
子供とゲームの付き合い方、調査結果
調査結果の概要をざっとまとめると、こうだ。
全体を見渡すと、手軽なスマホによりゲームがすっかり日常化してしまった現実と、家庭内にできた新たな難関に困惑する保護者の姿が見えてくる。一方で、日常生活に支障が出る家庭は増加したとはいえ3割に止まっており、最悪の事態を前に今ならなんらかの対策ができるのでは、と行政や産業、教育など、何らかの対策を求めるきっかけになるのではと感じる。
毎日3時間以上が大多数
- 8割以上が「ほぼ毎日」。半数以上が1日「3時間以上」、1割近くは「9時間以上」
- 「日常生活に支障が出る」と感じる保護者は3割超
- 生じる問題として「勉強が手につかない」「朝起きられない」「ものに当たる、壊す」上位
保護者の対策
- 7割以上の保護者が何らかの対策
- 対策として「ゲーム時間を決める」「宿題などを終えてからゲームをする」「ゲーム以外の趣味を増やす工夫」が上位に
※集計対象者:LITALICO発達ナビ会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた、発達障害の特性があり、「ゲームとの関わりに困りごとや悩みがある」子どもがいると回答した保護者618名(調査期間:2018年6月27日~7月16日)。
※調査結果の構成割合は小数点以下第一位を四捨五入しているため、合計が100にならない場合があります。
調査結果グラフ
子どものゲームとの付き合い方:8割以上がほぼ毎日
8割を超える子どもがほぼ毎日ゲームをしており、利用時間で見ると半数以上の53%が、1日3時間以上。1日「9時間以上」の回答も1割近くが挙げていました。
ゲーム没頭の度合いに関して「コントロールできている」の回答は1割に満たず、3分の1以上の36%の保護者が「日常生活に支障が出る」ほどの状況にあると考えている。過剰に使用するようになったきっかけ・心当たりについて自由回答形式で尋ねたところ下記の回答が多数見られた。
過剰に使用するようになったきっかけ
- 学校でのストレスや不登校
- 友人関係がうまくいかない
- オンラインでの交流の方を好む傾向があるため
また、「過集中」など発達障害の特性が影響していると考える保護者も。
これらの結果は、先に紹介した「ゲーム依存障害」WHO認定の実態と対策の記事の内容とも重なっている。
ゲームに時間を割くことで起きている問題として、回答者全体の6割以上に上る383人が「勉強が手につかない」と回答。このほか、「朝起きられない」、「お風呂に入らない」、「食事をとらない」、「昼夜逆転」といった、基本的な生活習慣ができなくなっているも多数だった。
保護者による子どものゲームとの付き合いへの対策
子どもとゲームの付き合い方に対して何らかの対策や工夫をしていると回答した保護者は76%に上った。具体的な対策や工夫として「ゲームをする時間を決めている」と時間管理を行っている方が310名と回答者全体の6割以上(66%)に上ったほか、「宿題など勉強を終えてから」「家族と一緒に」「場所を決める」といった、ルールを設けているという回答も多い。多くの保護者が何らかの工夫をしてはいるものの、なかなかゲームとの付き合い方の悩み解消には至っていないことがうかがえる。
専門家による具体的対策
LITALICO発達ナビの記事では、このほかにも周囲への相談経験の有無や相談先に関する調査結果を紹介。また、アンケートで寄せられた「どうやったらゲームの優先順位を下げられるのか」「ゲーム好きな夫にも納得してもらえる説明の仕方」といった、ゲームにまつわる具体的な悩みに対して、鳥取大学大学院の井上雅彦教授によるアドバイスも掲載している。ご参考に。
【参考:集計対象者の内訳】
<年代>未就学児:17名、小学1~3年:130名、小学4~6年:208名、中学生:179名、高校生:66名、大学生以上:18名
<性別>男性:563名、女性:53名、その他:2名
<ゲームを始めた時期>就学前:254名、小学校低学年:254名、小学校高学年:89名、中学生:20名、高校生:1名
<ゲームの関わりに困っている期間>半年未満:68名、半年~1年未満:101名、1年~3年未満:238名、3年~5年未満:127名、5年以上:83名、無回答:1名