無傷のマジャパヒト王国時代の豚の貯金箱出土は珍しい。15世紀、古代インドネシアの王国(東ジャワ)・マジャパヒトでは、世界初の豚の貯金箱をデザインしたとされ、豚やイノシシの貯金箱は幸運と富を象徴していた。マジャパヒト王国は、インドネシア全列島を支配し、ほとんどすべての東南アジアを征服、インドネシアの歴史の中で史上最大の王国といわれおり、東南アジア各地での豚の貯金箱出土がそれを物語っているのだという。
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マジャパヒト王国とは
マジャパヒト王国(Kerajaan Majapahit)とは1293年〜1478年、ジャワ島中東部を中心に栄えたインドネシア最後のヒンドゥー教王国。最盛期にはインドネシア諸島全域とマレー半島まで勢力下に置いたとの説がある。
ピンクの豚の様式化されている現代の豚の貯金箱と違い、写実的である一方、造形として美しい。貯金、つまり財産を蓄える入れ物としてなぜ豚がえらばれたのだろうか?
インドネシア・マジャパヒト王国「豚の貯金箱」とは
マジャパヒト王国の豚の貯金箱は奥が深く、専門の学者がいるほどだ。特に、ドイツのアシュモレアン博物館ウェブサイトに豚の貯金箱についての解説ビデオがある。その解説を要約した。
中世の人々は粘土のポットにコインを貯めていた。その土は「Pygg」と呼ばれ、時代と共にYが「I」に変化し「pig」へ。それゆえポットの形は豚となった。
最初の豚の貯金箱が生まれたのはヨーロッパではなくジャワだった。この作品もジャワ製で、制作年代は15世紀、材料はテラコッタ(粘土)だ。
貯金箱の語源が豚ではなく、豚の語源が貯金箱だった!
同博物館によると、世界最初の豚の貯金箱がジャワであり、それどころか英語の豚(Pig)の語源が豚の貯金箱に使われた土にある、と説いているのだ。これには驚いた。貯金箱の語源が豚にあるのだろうと思い深掘りしてみると、そもそも貯金箱に使われていた粘土に豚の語源があったという、まったくの逆語源だったからだ。まるで天動説が覆った気持ちだ。貯金箱、すごい。
豚の貯金箱のジャワ起源説とイギリス起源説
一方、豚の貯金箱のイギリス起源説というのも唱えられている。イギリス経済ニュース The Financial Brand の豚貯金箱の記事によるとジャワの豚貯金箱がイギリスに伝わった語源としていない。
pygg bank(陶土の貯金箱)は600年頃からあった。時と共に「陶土(pygg)」と「豚(pigge)」は同じ発音になり、「陶土(pygg)」の方はだんだん忘れられる。
そして19世紀、イギリスの陶芸家が「pygg bank」の注文を受け、豚の形の貯金箱を作り、それが広まったというのだ。
イギリス起源説の他にも、中国起源説、ドイツ起源説など、豚の貯金箱は意外にも奥深く古代から豚は富の象徴であったからか、豚の貯金箱にコインを貯める風習は世界各地であったことは間違いない。詳しくはこのページ一番下の参考サイトへ。
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豚の貯金箱は今も昔も豚の貯金箱だった
どの国が起源であっても貯金箱が豚の陶器から始まったことは間違いなさそうだ。雑貨屋さんでよくみかける豚の貯金箱。今も昔も変わらず粘土から生まれたこの様式は世界共通で、富の象徴である豚かイノシシを模して作られていたのだった。豚の貯金箱を見る目がすっかり変わったニュースでしたね。