ついでだが、Adobeの2D版VtuberのようなリップシンクPCソフトウェアである「Adobe Character Animator(Ch)」についても触れておく。
AfterEffectとの違い
AfterEffect用にIllustratorでキャラクターデータを作る方法と、Character Animator用にデータを作る方法は下記の通り若干違うので注意が必要。
操作 | AE | Ch |
---|---|---|
レイヤー構造 | 第1階層のみレイヤー活かせるが第2階層以下は統合されるので間接のあるパーツはすべて第1階層に配置。(レイヤー統合する必要はない) | レイヤーは複雑でもよいが+Face、+Left arm、+Left Eye、+Nose、など独立したレイヤーには+をつけ、関節の先には+付けない。 |
グループ化 | ❌ | ❌ |
インポート方法 | 「ファイル >読み込み > ファイル(⌘i) > コンポジション・レイヤーサイズを維持 > 読み込み」でプロジェクトパネルに表示されたコンポジションをダブルクリック。 | |
間接設定 | アンカーポイントツールで、間接アンカーポイントを軸に移動。親子関係を連結。 | 事前に「+」や「+Face」などの決められたレイヤー名をAiに付ければ自動的に間接が付く。 |
用語解説
- スワップセット
トリガーパネルの中で、それぞれ排他的なトリガーを作る際に利用するフォルダのようなセット(左右の向きを変えるセットや、目の表情を変えたい時などに) - トリガー
手の形(ぐー、ちょき、パー)等を記録し、ショートカットで瞬時に切り替えられる機能
オリジナルキャラクターの作り方
Chで制御する前に、オリジナルキャラクターが必要だ。サンプルキャラで手軽に作りたければ、Chにプリインストールされているいくつかのデフォルトキャラクターを利用可能だ。オリジナルキャラクター作りには、Adobe Illustratorを使う方法とPhotoshopを使う方法がある。それぞれ好きなソフトウェアで作る。
Illustratorの場合
Adobe Illustratorを使ったオリジナルキャラクターの作り方と、あとでChに読み込んだ際に自動割り当てされるためのデータ作成ルールは以下の通り。
レイヤー名のルール
- キャラ名をあてたルートレイヤーの中に、「Head」「Body」の2レイヤーを作る
- Headの顎あたりに点を打ち名前を「Origin」とする
- 独立(+マーク)が必要なパーツは基本的に、キャラ名、眉毛(Left Eyebrow、Right Eyebrow)、目(Left Eye、Right Eye)、鼻(Nose)
グループ化と書き出し
- Adobe Illustratorでキャラクターデザイン(AfterEffectに読み込むデータはグループ化せず、第1階層のみのレイヤーのみAEに反映され、それより下は統合される)
- AIデータのまま(Ch)に読み込み可能(レイヤーも活かされる)
- Photoshopに書き出したい場合、ファイル > 書き出し > Photoshop PSD > レイヤー有効ON
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
レイヤー構造 | 維持 | |
レイヤー名 | Faceなど、決められたレイヤー名で | そうじゃなくても手作業でインポートできるが、決められた英語のレイヤー名をつけると、自動的に全身ボーンが付き作業時短になる |
書き出し | Photosop | ⚠️全レイヤーを可視にしておくこと ファイル > 書き出し > Photoshop PSD > レイヤーを保持ON |
After Effect | AEにドラドロだが、AIデータのレイヤーを要フラット化 |
Character Animatorでの作業
作業の大まかな流れ
- 新規プロジェクトを作成し、任意の作業用フォルダを指定
- 右上カメラ・マイクパネルから「基本姿勢を設定」(姿勢を正しくカメラに向けること)
- 左上プロジェクトパネルにAIデータをドラドロし、キャラデータ読み込み
- プロジェクトパネルから新規シーン(カチンコマーク)作成
- Bodyを選択し、足のかかとにピン打ち(これで足が固定される)
3View(斜め角度つけ)の方法
正面と同じように、斜め角度を作るには、角度の数だけレイヤーが必要になる。(下図参照)
キーボードトリガーの種類
種類 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
トリガー | パーツの呼び出し | ウインク |
スワップセット | 複数のトリガーのセット | 手にスマホ、マイク |
リプレイ | IKを使った動作までを保存 | バイバイ |
トリガー(パーツ呼び出しの保存)
スワップセット
- ワークスペース「リグ」 > ウィンドウでトリガーパネルで+マークを押し、スワップセット作成(左右に分け)
- パーツを表示させた状態で、そのスワップセットにドラッグ
- ラッチ:ボタンONを維持するかどうか、決める
スワップセットの左右にちゃんと振り分けられないと、手が消えてしまうエラーが起こる。それ以外には、レイヤー構造に原因があるようだが、未確認。
リプレイ(動作保存)
下記のいずれかの方法で動作のパターンを保存できる。
- ドラッグで動作させた様子を録画し、そのタイムラインを右クリック > 「リプレイ及びトリガーを作成」
- 2つ以上の動作がある場合はタイムラインの両端をイージーイーズし動作間を滑らかに
別録の音声データでリップシンク
- 音声をmp3、WAVに変換
- プロジェクトに読み込み(ドラックドロップでもOK)
- タイムラインに配置しアバターと重ねる
- アバターと音声を選択した状態で メニュー > タイムライン > シーンオーディオからリップシンクテイク計算
- この状態で、読み込んだ音声を選択し「録画」するとリップシンクと追加リプレーを合成できる
- 書き出し > 「アルファを含んだ状態でエンコード」選択で、背景透明の動画が書き出される
この後普通に、タイムラインでアバターと音声とリップシンクが配置された状態で、画面右上「カメラマイク」ウィンドウでマイクOFFにし、シーン録画を追加すれば、動作やトリガーを関連付けられる。できないときは、タイムラインが「再生」されていないことを確認すること(再生中は動作をスキャンできない)。しかし、録画すれば合成できる。
動画の書き出し
- タイムライン上でIn、Out(半透明のバー)で尺を設定
- ファイル > 書き出し > Adobe Encorder経由で 選択(⌘M)
上記書き出し時に、アルファを含んでエンコードを選択
背景の入れ方(グリーンバックを入れる方法)
- プロジェクトに背景画像を読み込み、シーンにドラドロ
- グリーンバックの場合は、グリーンの背景画像を用意し、上記と同様に
- アルファチャンネル付きでAdobe Encorderに書き出すこともできる(ファイル > 書き出し > アルファを含んだAdobe Encorder…)
キャラクターの入れ替え
プロパティーパネルで入れ替えができるが、単純入れ替えではなく、プロジェクトパネルへのキャラ追加のような要領らしい。
ビデオチャット中のLIVE合成
- 必要なアプリ:Adobe Ch、(ZoomやLINE等の)ビデオチャットソフト、OBS Studio、OBS Virtual Camera
- Adobe Ch側でもしグリーンバックがあれば非表示に
- Adobe Chで、ストリームモードにしライブストーリミングボタンをON
- OBS側で、シーンパネルに「画面キャプチャ」追加(+ボタン)
- OBS側で、シーンパネルに「サイフォンクライア」選択し、「ソース」選択を「Adobe Charactor Animator」に、「透過を許可」をONに
- 適当な大きさに調整
- OBSメニューの「ツール」から「OBS Virtual Camera」選択
- ビデオチャットソフト(LIEN等)のカメラ設定で「OBS Virtual Camera」選択