このページは、49歳の私が突然、脳梗塞になった経験をつづったものです。なぜ書いたかというと、「ブログ書け」と催促するこのサイトの編集長がうるさいのと、脳梗塞で入院したリアルな経験を忘れないうちに残しておきたかったからです。脳梗塞に“今日なる、明日なる”と思いながら生活している人はいません。私の場合は突然、何の前触れもなく来ました(前兆のある人もいますが)。もし、ご家族やあなたの周りに脳梗塞の疑いがあったり、脳梗塞についてもっと知りたい、など私のリアルな経験がお役にたてればと思っています。血圧もコレステロール値も高くない健康体の私が、なぜ急に脳梗塞になったか。ありのままを書き残します。
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突然の麻痺
その日は平日でしたが、たまたま家族全員がお休みの日でした。
いつもより遅めに起床し朝食を家族でとり、午前10時半ごろから洗濯。
しゃがみこむ形で衣類を洗濯ネットにいれたあと
「よっこらせっ!」
といった感じで勢いよく立ち上がった瞬間……頭の中が「ぼわ~~~ん」とし、めまいが…
「あ、ちょっと勢いつけすぎたな」
と気にせず洗濯機をまわしたあとも、めまいは治まらずゆらゆらと船に乗っているような感じで体が揺れたまま。
「おかしいな」とは思いつつ少し寝てれば治るか、とリビングで横に。
異常から30分、身体左側が麻痺
30~40分ほど経過し洗濯機のブザーがなったので起きてみると…
あれ?なに?左手、左足に力が入らない!!左手足が言うこと聞かない!!
歩こうと思っても左足がぐにゃり、左手も挙がらない!
まず長男が異常を察知
半ばパニックの私を見た長男が異常を察知し、病院に行くようすぐに主人を呼んできました。
あとで長男が言うには以前テレビで見た脳卒中の症状に似ていると思ったらしいです。
それでも呑気な私は「更年期のめまいかな?」と思い、寝ていれば治るかなと気楽に考えていましたが、息子と主人に促されすぐに病院へ。
救急車は恥ずかしいから車で病院へ
家族が救急車を呼ぶというのを「恥ずかしいから、やだ!」とまたまた呑気なことを言い、自家用車で病院へ。
体の異常は感じていたものの、とにかく病院へ行けば治るだろうと。それがまさか深刻な状態であったとは夢にも思いませんでした。
病院についたけど
診察時間外で診てもらえず
車で近所の総合病院に着いたのは午前11時40分。
運転していた主人には「一人で行けるから、駐車場に車を入れて」とグラグラしながら自力で受付窓口に。症状を説明しながら診察券を出すと「午前の診察受付は終わっているので、午後またはここから救急車を呼んでください」とのこと。私の状態を見てすぐに車椅子に乗せてくれましたが、「え?病院にいるのに診てもらえないの?」と泣きそうになりました。
やはり深刻な病状の場合は救急車をすぐに呼ぶべきでした。
病院から救急車へ、移動中の車内検査
結局、病院の前から救急車に乗り(目の前に病院があるのに)、救急隊員の方が懸命に病院探しをしています。
「すみません、大したことないかも知れないのに救急車なんて…大袈裟かな」
と恐縮していると、救急隊員は
「いやいや、しっかり病気の症状が出ていますよ」
と。そう、まだ私はただの「めまい」だと思っていたのです。
救急車は総合病院へ
そこから車で5分ほどの、さらに大きな総合病院へ搬送されることに。ERに運ばれて症状の確認、検査など目まぐるしく時間が過ぎていきます。もう疲れ果てた私の頭はぼーっとして、訳がわからず不安が募るばかり。
脳神経外科の先生がいらして
「細い血管が詰まっているから薬を点滴で入れたいんだけど、どうしますか?」
と聞かれてもうまく判断ができず「はぁー」としか言えない状態。
「…先生が一番良いと思う治療でお願いします…」
主治医の先生は「ではご主人にも詳しく説明して、この治療の承諾を得ますね」と。
麻痺時間確認の重要性
麻痺が始まった時間を何回も聞かれ2時間ぐらいだね、と確認しています。
点滴投与は1時間ぐらいだから、じっとしている様にと。長いな~早く帰りたいな~と考えながら点滴をしているうちに、なんとなく左手、左足の感覚が戻ってくる感じが!良かったーとホッとしていると…
奥さんは「脳梗塞」で入院です
何度か手足の動きを確認されては「うん、いいね」とうなずく主治医の先生。
私:(あー、良かった。午後には帰れるかな?)
先生:「じゃあ、今日から入院ね」
私:「えええっ?!入院ですか?!」
先生:「ん?なんで?何かあるの?」
私:「いや~、帰れると思って。じゃあ明日までですか?」
先生:「えええっ?!帰れないよ(笑)、ははは~呑気だね~。期間は最低10日間、トイレはベッドの上で。起き上がっちゃだめだから、寝たままね」
私:「えっ!トイレ?ベッドの上?10日間?」
何度も聞き返す私に笑顔で「薬は効いているけどいま無理すると心配だから。安静にね」と去っていく先生。
なぜ?どうして?帰れないの?パニックになっていると主人がやってきた。
私:「今日、帰れないんだって!入院だって」
主人:「当たり前じゃん。脳梗塞だよ」
え!その時初めて病名を聞いた私。「細い血管がつまって~~」云々でも気づかなかった…
主人:「死んでもおかしくない病気なんだよ!」
私:「……そうなの?」
実感はないけど、とにかく入院するしかないのか。
ここで、脳梗塞についておさらい
脳梗塞は早期発見、早期治療で!
ここで脳梗塞について、主治医先生のお話をもとにポイントをまとめました。
「脳梗塞」とは
- 脳卒中のうちのひとつ(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの総称)
- 脳の動脈に血栓ができることによって血管が詰まり、脳の細胞が壊死する病気。
脳梗塞の分類
- ラクナ梗塞(脳の細い動脈で詰まる=私のケースがこれでした)
- アテローム血栓性脳梗塞(太い動脈が血栓で詰まる)
- 心原性脳塞栓症(心臓からの血栓が脳の血管を詰まらせる)などに分類される
「脳梗塞」の原因とされる原因
- 食生活(メタボリック症候群)
- 塩分の過剰摂取
- 運動不足
- 糖尿病
- 高コレステロール、高トリグリセリド
- 喫煙、大量の飲酒
- ストレス
- 不整脈
- 加齢…
「脳梗塞」の症状
脳梗塞は突然発症します。初期症状として比較的にわかりやすいのは
- 顔がゆがむ
- 片腕、片足が動きづらい、歩きづらい
- ろれつが回らない、言葉が出てこなくなる
- 食べ物が口から良くこぼれて、食べにくい
- 放置すると、運動麻痺・感覚障害・失語症など生活に支障を来す重大な後遺症を残す
最悪の場合、生命にかかわる事態となるので注意です
今回、私の症状の特徴
症状を振り返ると
午前10時半ごろ、勢いよく立ち上がったためめまいを感じる。30~40分ほど寝て、起きたら左腕、左足に力が入らずぶらぶら状態。言葉の詰まりや意識障害などはないけど、救急車の中で顔を見た主人が「左頬と口角がすごく下がっていた」と。写真撮って欲しかった~と言うと「そんな雰囲気じゃない!」と怒られました。
ラクナ梗塞(脳の細い動脈で詰まった)と診断
私の場合「細い血管がつまった」と言われたので「ラクナ梗塞」だった可能性が高いです。診断書には「脳梗塞・急性期」とありました。
原因ですが、「頭部CT/MRI/MRA、心電図、採血、血圧、脈」など検査しましたが特に異常は見つからず、主治医からも明確な答えは貰えませんでした
ただ「健康診断はちゃんと受けてくださいね」とだけ。(実は5~6年受けていなかった私)
原因は「運動不足」と「ストレス」?
でも言い訳がましいが自分なりにはストレッチやウォーキングなどを心がけていても毎日ではないので、確かに「運動不足」と言われれば返す言葉もなく…
ストレスも特に感じないが、家族曰く「ストレスは自覚がないことが多い」そう。ポジティブ思考の私にも「やはりストレスがあったのか?」と…
私なりに考えたもう1つの原因は「水分不足」
それともう1つ、脳梗塞の一週間前に「インフルエンザ」を発症し3日前まで寝込んでいたこと。
主治医の先生は「インフルエンザが直接の原因ではないけど、水分不足には気をつけて」と。
リハビリの先生からは「高熱で水分不足のうえ、忙しく動き回ったり、立ち上がった瞬間に血圧がボンッ!とはね上がったかもね」と。
確かに立った瞬間頭の中で「ぼわ~ん」としたっけ。
もともと血圧は105〜115。りきんでしまった瞬間に血圧があがれば、たとえ高血圧ではなくても危険があるのかも知れません。
聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳卒中センターの資料
脳梗塞の前兆、前触れについて聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳卒中センターが「脳卒中の警告サイン:すぐに救急車を!」というタイトルで投稿しています。ご参考になればと思い下にリンクを貼りました。
「脳梗塞」発症からの治療
脳梗塞について改めておさらいし終わったところで私の脳梗塞についての続きです。
先述した通り、私の脳梗塞は
- 発症:午前10時半
- 救急車搬送:午前11時45分
- 投薬:午後12時20分ごろ
アルテプラーゼの点滴
発症から治療まで約2時間という早さのおかげで、後遺症もなく入院期間も9日間で退院できました。
投薬されたのは「アルテプラーゼ」を約1時間かけて点滴されました。この薬は脳梗塞の症状が現れてから4.5時間以内でないと使えないのです。副作用もあるので本人と家族の了承とサインが必要とされます。
このお薬「アルテプラーゼ」のおかげで私は麻痺もなく、数時間後には腕も足も動かせる状態にまで回復しました。本当に凄いこと、幸運だったと言われました。
発症から時間がたつほど後遺症が残り、リハビリにも苦労すると聞きました。
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脳梗塞が心配な方へ
めまいやふらつきなど「寝たら治る」「疲れかな」と考え、寝てしまったりすぐに病院へ行かない人なども多いと言います。私もあの日、家族が誰もおらず一人だったらそのまま寝ていたかも知れません。それはつまり重度の障害を持つことになったか、死を意味します。
入院してわかったこと
入院してわかったこと、それは体調がおかしいと思ったらすぐに病院に行くこと。
そこで「特に何もないです」と言われればそれはそれで良し。不安な気持ちでいるより病院にいって早期診断を受けることが本当に大事だと思いました。
普段から診断や診療を受け、異常があれば医師の相談を受けることが大事だと思いました。年に一度の健康診断や市の無料検診などには必ず受け、血液検査で血糖値、コルステロール値を年に一度は調べて、その上下を観察し、食生活や運動をするヒントにしてください。もしコルステロールチが上がっていたら、心当たりのある好物を控えたり、医師がすすめる薬を試したり。
早期診断、早期治療
運動野の脳細胞が一部壊死しているだろうと言われましたが、私には後遺症はほぼありませんでした。幸運だったと思います。
脳梗塞が発症したとき、幸運にも家族が近くにいました。なので4時間以内に点滴を受けられました。ですが、もしこれが私1人で発症していたなら、最悪の場合、半身不随などの重たい後遺症に陥り、家族を巻き込んで親族の重荷になっていたのかもしれません。40代、50代になった方々には早期診断、早期治療で、ご家族が笑って過ごせる「ごく普通」の時間、「ごく普通」の生活をいつまでも送ることができる、「ごく普通」のしあわせのために、普段から診断や運動を習慣にして、普段から偏食がないよう食生活にも十分注意してあげることが大事だと感じた、そんな退院でした。
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